労働関係豆知識

* 労働時間と残業

 労働者にとって最も大切な「賃金」と「労働時間」は切っても切れない関係にあります。
なぜなら、同じ
1日の稼ぎが1万円でも、8時間労働の人と5時間労働の人では、賃金に大きな格差が生じます。8時間労働の時給は1250円ですが、5時間労働の時給は2000円になります。
1時間当たりの賃金が幾らかが、賃金を比較する場合に大切なのです。
これが残業(時間外労働)の計算基礎にもなります。


労働時間は「一日
8時間、140」を超えてはならない、と労働基準法という法律で決まっています。
1日9時間も働かせたら法律違反で、訴えれば使用者は罰せられます。でも、忙しい時には、一日10時間も1週に50時間も働くこともありますね。そういう時はどうなるのでしょうか。
そういう場合を想定して労働基準法では労働時間の例外を設けています。
1日
時間、140時間を越えて働かせる場合、労働組合または労働者の代表との間で「○○時間まで  超過して働いてください」、「○○時間までなら結構です」という協定を結び、この協定書を労働基準監督署に届け出た場合に限って、例外として認められるのです。
この協定書を結ばずに、
時間を超えて働かせたら、違法になります。

この規定は、労働基準法第36条に書かれているので、時間外労働協定のことを「36協定」とも呼びます。


* 時間外労働(残業)のルール

 時間外労働の協定(36協定)は、1日何時間、1週間・1ヵ月何時間まで残業できるか明記しなければなりません。また、休日労働は1ヵ月何日まで可能かも明記します。
それを決めるのは使用者ではなく、労働組合(労働者代表)に権限があります。
労働組合の代表が印を押さなければ、協定は効力を持ちませんので、労働組合は、労働者に不利な協定をしない権利があります。

協定を結ぶ場合の期間は、1年という長期ではなく、1ヵ月とか3ヵ月くらいに区切って、実情に応じて協定することが大切です。
協定は、組合員であるか否かを問わず、その職場の全労働者に適用されます。
協定時には、割増手当を何パーセントにするか、確認する必要があります。

法律では、通常の時間外は25%以上、日曜日は35%以上と決まっています。
最近は、通常でも30%程度が増えています。

協定があるからといって、いつでも労働者の都合を無視して、強制的に残業や休日労働を命じることはできませんので、使用者は本人の了解を事前にとって残業をさせる、というルールをつくることが必要です。 最近は、「サービス残業」(不払い労働)が摘発され、多額の是正(追加支払い)が話題になっていますが、いかなる理由であっても、残業には必ず割増手当の支払いが必要です。不払い労働は6ヵ月以下の懲役と30万円以下の刑事罰が課せられます。


* 年次有給休暇

 「有給18日もあるのに、なかなか取れないのよね」
「うらやましいわ。私の会社は有給制度がないの」女性たちがこんな会話をしていました。「私はパートなので有給はないんです」という人もいました。
これが、普
通の感覚かな、と改めて思いましたが、どこか、変だと思いませんか。
 労働基準法は、使用者は、労働者に年次有給休暇を与えることを義務づけています。
だだし、それには次の条件が
つけられています。

@雇い入れの日から6カ月間続けて勤
務した労働者

Aその間の出勤日の8割以上を出勤した労
働者

つまり、「雇われてから6ヵ月以上働き、その間 欠勤
割合が2割未満の者」は、雇用の形態にかかわらず、だれでも有給休暇を請求する権利があり、使用者は「有給休暇を与えなければならない」のです。
また、パートのように、通常より労働時間、労働日数が少ない場合は、フルタイム労働に対する比例により有給日数が算定されます。ですから、パート・派遣・アルバイトだから、有給がない、また「有給制度がない」ということはあり得ないのです。
 会社が制度を作っていなくても、法律に基づき、「有給休暇の請求」ができ、使用者は有給を与えなければなりません。請求した有給取得日が、「事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ、使用者は、その行使日の変更を求めることができますが、平社員が休んで会社の経営が危なくなるようなことは、通常ありえないでしょう。


* 不当労働行為

 「労働組合法」は、労働者の団結を具体的に保護し、そのルールを規定した法律です。
労働組合法の中で、特に大事なことは、使用者が労働者の団結活動や労働組合に対して、妨害したり、支配介入することを禁じていることです。
こうして使用者の団結権に対する侵害を「不当労働行為」として禁止し、労働者の団結権を具体的に保障しているのです。
では、どんなことが「不当労働行為」とされるのでしょうか。


@  不利益取り扱い

 労働者が「労働組合の組合員であること」
 「労働組合の加入や、結成しようとしたこと」
 「労働組合の正当な行為をしたこと」

のいずれかを理由として、その労働者を解雇したり、不利益な取り扱いをすること。

A   黄犬契約

労働者が「労働組合に加入しないこと」「労働組合を脱退すること」を雇用条件とすること。

B  団体交渉拒否 

使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由がなくて拒むこと。


C   組合運営への支配介入 

労働組合の結成や運営に対する支配介入。


D   労働委員会への申し立て等に対する不利益 

もし、こうした不当労働行為があれば、第三者機関である労働委員会への訴えにより、不当労働行為の認定がされ救済の道が開かれています。


* 労働組合の組織形態

 一口に「労働組合」といっても、その組織形態はいろいろあります。
今回は、使用者と労働組合の関係を規定する
「ショップ制」について説明します。
日本の労働組合で代表的なのは「ユニオンショップ制」です。
これは、「従業員は必ず労働組合に加入しなければ
ならない」ということを協約で決めます。
「組合を脱退すれば従業員でなくなる(解雇する)」のが原則ですから、労働組合にとって、
形の上では最も有効な形態です。

 しかし、労働組合の理解や意識がないまま自動的に組合員になる労働者も生まれやすく、これが弱点です。

 またユニオンショップ協定は、パートや臨時などを除外していることも多く、問題です。数が多くても「眠れる豚」ではいざというときに、闘う力が発揮できません。そうならないためには、日常的な、組合員教育が必要です。
労働組合の組織形態で最も一般的なのは「オープンショ
ップ制」です。
これは、労働組合に加入するかどうかは
労働者の自由意志で決めるものです。だから、組合へ加入してもらうために労働組合の努力が必要です。労働者は自分の意思で組合に加入するので、団結力を強め易い反面、使用者からの脱退の働きかけを受けやすい(これは不当労働者行為ですが)ので注意が必要です。
世界的にはオープ
ンショップ制が普通ですが、日本では官公労、中小企業に多くみられます。「ユニオンはままつ」のような個人加入組合もオープンショップ制です。

 もう一つは、「クロースドショップ制」です。これは、
使用者が労働者を雇う場合は、必ず組合員に限って雇わなければならない、という制度で、組合を脱退や除名された者は解雇しなければならない、とするものです。
労働組合による熟練労働者の独占をはかり、会社に有利な条件で雇わせるという、社会的な力を持つ労働者の組織形態です。これは欧米の職能別労働組合などで、代替えの出来にくい熟練労働者の組織に見られましたが、日本では余りみられないようです。